こんにちは!管理人のsatomiyaです。
私は元々銀行員していました。
先日知り合いのつてで、信託銀行で資金調達をしていた方に色々と話を聞いてきたのでご紹介します。
転職を考えている信託銀行の方は必見の内容だと思いますよ。
もしあなたが転職を考えているのなら、“銀行員が転職で成功するためのポイント”をまとめましたので、こちらもご覧ください。
では、さっそくどうぞ↓↓↓
私は当時35歳の男で財務企画部にて資本調達を担当しておりました。
目次
信託銀行での仕事の内容について教えてください
財務企画部にて、収益予測とそれに応じて必要な適時開示を行うとともに、自己資本比率の維持及び向上を目的とした資本調達(国内外の機関投資家向けの債券発行(劣後債及び優先出資証券))を行い自己資本比率の維持及び向上に努めました。
信託銀行でのノルマの内容について教えてください
国内支店及び海外支店時代にノルマがありました。
国内支店では住宅ローン・アパートローンを担当しておりましたので、融資残高と理論収益のノルマが担当者に課せられました。
理論収益とは目標カウント上の理論値で融資残高に一定の利率をかけることで算出されます。
海外支店では、国内支店の目標をほぼ同じで、投融資残高と理論収益がノルマとなりました。
国内の場合は毎週営業会議があり、ノルマの達成状況と達成に向けた対策を発表することになりますが、管理する側としては普通のやり方だと思います。
海外の場合は、マーケット状況に左右されるので、そこまで厳しい追及はありませんでした。
信託銀行を辞めたい、転職したいと思った理由は何ですか?
そもそもパワハラに近い性質があり、そのカルチャーに辟易としていました。
またアメリカ留学で、アメリカの銀行の実情や金融行政の最先端の状況を学んできたあとで、どうしても日本の銀行の出遅れ感や危機感のなさ(先送りや見て見ぬふり)、意思決定に対するサイエンスのなさ、が気になるようになりました。
当時の銀行は不良債権処理の傷も癒え、これから回復という時でしたので、財布のひももゆるかったこともあり、不必要な金利を払ってまで不必要に資本調達をしていました。
そもそもその資本調達手段(劣後債の発行)が、資本性の観点から疑義があることは明白であり、自らも疑問があったものの、それを続けない限り、自己資本比率上の懸念が出てしまいます。
こうして劣後債というある意味「エセ資本」を発行し、それをもってバーゼル規制上の「自己資本比率」を維持したところで、形式的に意味はあっても実質的に意味はないこと、その形式面を満たすためにかなり割高の金利を支払わなくてはならないこと、に相当な疑問を感じていました。
一方で、アセットサイドではそれをはるかに下回る金利しか稼げない状況が続いており、そのアンバランス感が経営上問題ではないのかとの疑問が大きくなりました。
後にこのエセ資本には。案の定。世界的に見直しが入りますが、フレームワークがそうなっている以上、自分ではどうすることも出来ず、おかしいと思ったことを続けることも出来ず、転職しました。
信託銀行からの具体的な転職先、転職活動について教えてください
転職活動は在職時に行いました。
リクナビ等の転職エージェントを通じて日系金融機関を、Robert Walters等を通じて外資系金融機関を受けました。
日系、外資系の資産運用会社、証券会社、外資系銀行を中心に受けました。
最終的には外資系資産運用会社に行くことにしました。
ロンドン支店時代の知人からの紹介で、その資産運用会社は知名度は抜群でした。
米系の割にはガツガツしておらず、かつアカデミックなアプローチを取るので、証券会社のようなセルサイドとは違った知的金融機関の印象が強かったことが決めてでした。
またその会社は全世界で1~2を争う運用残高であったにも関わらず少人数で支えていることから、特に教育に熱心な会社で、自分で何とかしろという日系金融機関とは大きな差を感じたところも決め手でした。
信託銀行からの転職は大変でしたか?後悔はありますか?
米系の資産運用会社への転職は非常に良かったと思います。
しかし、不況時には解雇は当然のようにあり、アゲインストの状況では若干雇用を意識することがありました。
ただ、一度入社したらそのポジションは一定であり、あまりローテーションはなかったこと、営業(フロント)ではあまりないケースですが、事務(バックオフィス)は組織ごと他社に売られるケースもあります。
またポジションが硬直的であると同時に、組織も日系金融機関ほど大きくないですから、そこにいる上席もローテーションなどなく硬直的であり、その上席がどかない限り昇進はないという人事的問題もありますので、その点は若干後悔する点かと思います。
信託銀行から転職したい、辞めたいと考えている方にアドバイスはありますか?
自分の特性を見極めてから転職した方が良いと思います。
色々な仕事を経験したいという方はローテーションがある日系金融機関が良いと思いますし、これだけをずっと突き詰めていきたいという方は、外資系金融機関でその道だけを追求する方が良いと思います。
ただし選んだその道が思ったほど面白くなく、また別に興味が移ったりした場合、そう簡単にキャリアチェンジは出来なくなりますので、その点をしっかりと覚悟した上で転職をした方が良いと思います。
国内系での転職であれば、やはり生え抜きを重宝する文化は根強く残るため、実力ではない部分で転職組は苦労というか損をすることがありますので、その点も考慮に入れて「冷静に将来を」考えてみる必要があります。
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